直観

intuition

 

昨年(平成21年)の11月28日に昴の木から、足立幸子作「intuition」が発刊されました。

昨年、一昨年とお便りでもお伝えさせていただきましたが『この絵本は昴の木で作らせて頂こう』と密かに心を決めてから実に9年以上の歳月を必要とし誕生し送り出すことが出来た「intuition」直観というアートでした。

昴の木は、その9年の間にも多くの体験をさせて頂きました。黒を起点として赤・橙・黄と白まで続くその時空は、まさに昴の木が体験を通して学ばせて頂かなくてはならなかった、時空そのものなのかも知れません。「intuition」の10貢から成るその時空の一つ一つを昴の木として、また個人として体験させて頂き現実の中で学ばせて頂く時空こそが、この一貢一貢の時空元を生きることそのものだったと観じるのです。

 

別の時空元でありながら、実は一つ一つの時空は他の時空との繋がりを内在している。それは、アートとして表現された宇宙の本質そのものなのかも知れません。

 

99%のあとに9が5個くらいくる原画の再現性をという所からトライして頂き、途中、情報として足立幸子さんから99%のあとに9が25個前後と言う厳しい再現性への変更を求められ、その事にも谷越社長さんを初め株式会社アイワードのスタッフの皆様は、実に淡々と取り組んで頂きました。

そして、印刷を実際にして頂きました、スピードマスターと言う印刷機さん、最後の最後に製本で役割をして下さったスタッフの方、社長様、廃棄処分になることを覚悟でメッセージを下さった2500冊の

intuition」どなたも本当に素晴らしい役割をして頂いたと観じております。

それにはもう言葉もございません。ひたすら『有り難さ』が込み上げてくるばかりです。

心から感謝しております。ありがとうございます。

ここに谷越印刷の社長である谷越さんから「intuition」の発刊に寄せてお言葉を頂きました。

皆様に何かを観じて頂ければ有り難く存じます。是非、読まれて下さいませ。

                                    (昴の木 瀧本)

 

昴の木さんから「intuition」の制作のお話をいただいた時『きっと、いや絶対に出来る』という思いがあり、それは、最新のコンピューター機能やハイレベルなスタッフの技術を駆使すれば、色の再現性や品質に問題はないと確信する環境が整っていると言う自信があったからだと思います。

制作がスタートして数ヶ月が経ち、初めての色校正をする時がきました。

この色校正は本番で実際にこの「intuition」を印刷することになる世界最新鋭の印刷機です。印刷機の前に操作をするオペレーターの3人にこの「intuition」の説明をし「必要以上の負荷をかけるような操作をしてまで、原画に合わせる事はやめ、印刷機械・刷版・インク・紙など、携わる全ての物に感謝の思いを向け自然に再現する事に徹しましょう」とお話させていただきました。

その後、監修をして下さいました、形態波動エネルギー研究所の足立所長からさまざまなご指摘とアドバイスをいただきながら、一つ一つクリアし、色校正も既に4度目を終えていました。(因に、印刷業界で色校正は一般的に1回で終わります。)その頃の状態は、原画と比べても遜色ないほどまでに再現され、印刷物という観点から品質的には全く問題ないと思えるほどの域に達していました。その段階で足立所長から「色にこだわるのではなくこの原画の持つ時空を表現してください」と伝えて頂きました。

『時空を表現…・』このプロジェクトに真摯に携わってくれているスタッフにはどう伝えたらいいのか…・。

クオリティには問題ないという事は、あとは携わる私たちの「意識の問題」なのだと観じ、自宅に保管してある原画を眺める日々が暫く続きました。このアートを通して幸子さんは何を伝えたかったのか。その頃、私の意識の中である変化が起こっていました。携わった当初は『いつものよう印刷物を作っている』という感覚で制作していたのですが、気がついてみると『印刷物』という物から遥かにかけ離れたとてつもない存在、未知なる存在物とでも言えばいいでしょうか、とにかく私のキャリアの中では初めて体験するという感覚に変わっていたのです。

次の色校正が、スタッフのモチベーションも含めてたぶん最後の機会だろうと感じていました。

『さあ、始めよう』いよいよ5回目の色校正がスタートです。私はいつものように印刷された紙が出て来るところに待機していたのですが、今までとは明らかに違う何か不思議な感覚がありました。こうして刷り上った色校正を早速足立所長に郵送しましたところ、「予定の振動波になりました。これで進めて下さい。」と、私を含め全てのスタッフがもうこれ以上はできないと言うギリギリの所で、ようやくOKのお返事をいただく事ができたのです。この「intuition」の制作に携わり、既に一年六ヶ月が過ぎていました。そして順調に本刷・製本へと続き、ようやく納品というところまできて、信じられない事が起こってしまうのです。何と最後の行程で上下を逆さまに綴じてしまっていたのです。さすがに目を疑う現象でした。

頭で考えるとあり得ない現象であり製本会社にとっては多大なる損失です。

ただ、その間違いが、実はとても大切なメッセージであり、サポートだと足立所長から伝えて頂きました。今回は、専門の製本会社へ委託していたのですが、そこの製本会社のスタッフは『いつものように印刷物を作っている。単純な作業をただ正確に』という思いでいたようです。

そこで、製本会社の社長へ「intuition」の作者でもある足立幸子さんの著書「あるがままに生きる」を読んで頂くためにお届けしました。

逆さまに製本された2500冊には重要な役割をして頂き、廃棄となり、結局全てを刷り直すことになったのですが、後日、「あるがままに生きる」を読み終えた社長から連絡があり、「今度の製本はもっと時間が欲しい。ゆっくり、丁寧に、心を込めて製本したいから」との事。こうして五度の色校正・二度の印刷・製本を経て、「intuition」は生まれたのです。

当初は「絶対に出来る」というような思い上がりがありましたが、これはできると言うものではなく、生まれてくると言うようなモノ、未知なる未来のアート(情報)が誕生するお手伝いをさせて頂くことだったのかも知れないと今となってはそう観じています。

私の印刷屋としてのキャリアの中で、本当に貴重な体験をさせて頂いたと感じています。いろいろな気づきと学びを通して、未来のアート、『intuition』を世に送り出させて頂く役割に感謝致します。

ありがとうございました。 

谷越印刷 谷越